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Avid S3L発表会レポート & ロバート・スコヴィル氏(Avid Technology Inc.シニア・マーケット・スペシャリスト) インタビュー

2013年9月17日

Avid S3L発表会
日時:2013年9月13日
場所:秋葉原 ユーディーエックス シアター

日本でも8月に出荷が始まったばかりのAvid S3L。Pro Tools HDX + VENU +AVB + Euconテクノロジーを投入し、一切の妥協なく、機能、サイズとも高い効率性でレコーディングを可能にするAvidのライブコンソール ニュープロダクトです。

Avidによる大々的なイベントということで、SRに関わる多くのプロフェッショナルから、Avid製品を使うユーザーまで幅広く、多くの方々が会場に足を運びました。

Rock oNでは、イベント開始直前、プレゼンテーションを間近に控えたとても慌ただしい時間に、Avid Technology Inc.のライブサウンドおよびレコーディング製品のシニア・マーケット・スペシャリストであるロバート・スコヴィル氏にインタビューすることが出来ました。まずは、その内容からどうぞ。

ロバート氏、S3Lのマーケティング戦略について語る

Rock oN : S3Lのマーケティング戦略についてお伺いできますか?

Robert Scovill氏:S3Lのコンセプトは、Live SoundシステムのラインナップにあるSC48より一回り小さなものを作るということであり、ヨーロッパやアメリカにおいて、”smaller”で”less expensive”な製品を求める高いニーズがあり、これに応える形で開発しました。

ただしサイズが小さくなるからといって、クオリティは損ないません。S3Lは、Venueが持っている高いクオリティーを保ちつつも、次世代技術への架け橋となるような製品を目的として生み出した製品です。

このコンセプトは日本のマーケットからの要求にも十分に合致したものだと思います。S3LにおいてAVBとEuConを採用しましたが、このチャレンジはAVIDの会社自体にとっても優位性をもたらし、とても意味がある製品です。

Rock oN : S3Lが採用する重要技術の1つとしてAVB(Audio Video Bridging)がありますが、AVBの将来性についてどう予想されていますか?

Robert Scovill氏:AVBの未来はとても明るいと捉えています。IEEEにおいて802.1として標準化され、これからさらに大きな可能性を広げるでしょう。他メーカーからもAVBを採用した製品が登場してきていますし、エンドユーザーもAVBの持つ有効性を享受し始めています。

個人的にも、マイクケーブルの代わりにカテゴリー5イーサケーブルによって、より簡潔に接続できることはとても素晴らしいことだと思っていますよ。

Rock oN : S3Lでのサードパーティー製プラグインの動作は?

Robert Scovill氏:はい、プラットフォームとしてAAX DSPに対応した製品であればサードパーティー製製品も動きます。まず始めはAvid製プラグインが搭載された形で出荷スタートになりますが、これから先、サードパーティー製品も順次、クオリファイして行きます。

今、プラグインを作る会社にとってエキサイティングなタイミングに入って来たと言えます。なぜなら、AAXフォーマットは以前のTDMに比べ、より容易に開発、コーディングができるようになったので、開発リソースも抑える事が出来き、そのことは収益にも繋がるので、サードパーティー会社にとっても喜ばしいことだからです。プラグインビジネスにとって、これは本当に素晴らしいことですね。


Avid S3L発表会レポート

では、会場に移りましょう。S3Lのプレゼンテーション開始。まずは、Avid チャンネルセールスマネージャー 常盤野氏によるAvidのライブサウンド製品のヒストリーから今回のS3Lの位置付けに続き、S3Lの製品コンセプトの解説がありました。

S3L製品コンセプト

・中層規模ライブサウンド市場向け モジュラー型デジタル ミキシング システム
・ハイ コストパフォーマンス
・比類なきネットワーク能力/スケーラビリティ/ポータブル設計を提供
・イーサネットAVB、EuCon、HDXプロセッシング
AAXプラグイン等の全く新しいアーキテクチャー採用
・Pro Toolsとのよりスムースな統合環境

この内容を増補するコンテンツとして、Avid S3Lの設計のインサイド・ストーリー 翻訳版がAvid公式ブログに掲載されていますので、ぜひご一読下さい。

http://blog.avid-jp.com/avid_japan_music_blog/2013/09/avid-s3l-a77a.html

続いて、ライブサウンド市場を知り尽くしたオーディオブレイン 山下氏による機能紹介がありました。現場目線で実践に沿った形で、わかりやすく解説が行われました。

S3Lのシステムコンポーネント

システム接続例

S3Lが採用するキーテクノロジー

続いて、冒頭のインタビューで登場して頂いたロバート・スコヴィル氏が壇上に登場。

今回のプレゼンテーションは通常の製品紹介と趣を少し異にし、ユニークな内容で進行しました。ロバート氏は、世界各地を周りライブサウンドのセミナーを多数開催。その内容をここ日本でも、S3Lを例にしながら再現するという試みでした。

通常なら3時間ほどかかるというセミナーですが、今回はイベント内での決まった時間枠での開催、日本語通訳を通しての実施ということで、コンパクトな内容にまとめられ進行しました。

「世界各地を回る中、プロのライブサウンドエンジニアでも正しく理解してないことがあるんです。」といった前置きで始まったアナログとデジタル領域におけるレベル管理(dbu vs, dbFS)の解説では、アナログインプット~VENUE~Pro Toolsでの各メータースケールにおいて、最終アウトでサウンド解像度を最大限にするためのTipsがプレゼンテーションされました。時には来場者に質問を問いかける形で進行し、現場に密接に関わった話として、オーディエンスのみなさんは注意深く耳を傾けていました。

またUSBメモリ内に置いたソングファイルをVENUE4.0ソフトウェア上でスナップショットとして動作登録し、ライブ開演前のBGM再生~開演タイミングでのBGM絞り~ライブ音響の録音開始、へと繋がる一連の制御をS3コントロールサーフェスからボタン操作だけで行う例がプレゼンされたりと、ライブ現場で有効な数々の機能が解説され、S3Lのライブサウンドでの優位性が数々示されました。

最後に再びAvid 常盤野氏から、この日、アムステルダムで開催されているIBCで登場した新たな大型新製品 S6の速報がアナウンス。今年12月中旬に発売予定ということで、こちらもこの日の大きなトピックになりました。

Avid S3Lサイト
http://www.avid.com/JP/products/S3L-system

Rock oNでは、S6の現地発表速報をIBCショーレポートで公開中です。こちらもぜひ、チェックしてください。

S3L システム全景

S3 コントロールサーフェイス

Stage16 リモートI/O

VENUE4.0ソフトウェア、E3エンジン

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